〜狂ったように夢を見た後


夢を見たんだ。

視界に広がるのはどこまでも続く真っ赤に染まった大地で、

目の前に横たわっているのは君。

君はどんなに呼びかけても、抱きしめても動かなくて、

僕はただこの声が枯れるまで君の名前を呼び続けたんだ。

そうすれば、君が戻ってくるんじゃないか。

いや、必ず戻ってきてくれるはずだって、信じてさ。

だけど、やっぱり君は動かないんだ。

大好きな君の目は静かに閉ざされたままで、

眠ってるんじゃないかって思った。

一滴・・・二滴・・・三滴・・・。

ポタポタと君の頬に落ちていく僕の涙。

この雫の熱を受けて、君が目を覚ましてくれれば。

そんな願いも虚しく散っていったんだ。

そして、何の変化も起きない時間に絶叫しそうになった時、

君の声で目が覚めたんだ。

一瞬、何が起こったのか分からなかったよ。

戻ってきて欲しくてたまらなかった君が、目の前にいるんだから。

だから・・・だから今か強く抱きしめさせてよ。

君の体が折れてしまうんじゃないか。

君が息ができなくなってしまうんじゃないか。

色んなことが心配になったけど、今は君という存在を確かめたいんだ。

狂ったように夢を見た後は、君の温もりに溺れていたい。