〜このまま春にさらわれてしまいそうで


暖かな日差しに包まれて、静かに目を閉じる。

鳥の声や木々のざわめきは聞こえても、

僕を呼ぶ声は聞こえない。

だから分からなくなるんだよ。

僕がここにちゃんと存在しているのかどうか。

僕という人間が、ちゃんと誰かの中にあるのかどうか。

一人目を閉じて佇んでいると、

このまま春にさらわれてしまいそうで・・・。

僕は息を吐いて目を開く。

飛び込んできたのは眩しい光。