〜あなたの声を最後に世界など消えてしまえば


強く強く抱きしめていた。

誰にも渡したくないと願うほど、この腕は解けなくなっていく。

あぁ、もうどれくらいこうしているんだろう。

あなたは小さく呼吸を繰り返すだけで、

一言も喋ろうとはしない。

そんな沈黙が、余計にこの腕に力を込めされる。

あぁ、どんどんどんどん解けなくなっていく。

あぁ、どんどんどんどん僕らは堕ちていく。

もう二度と戻れないような場所まで、

真っ逆さまに堕ちていく。

ふいに顔を上げたあなたの口が、ゆっくりと動く。

「−・・・っ。」

あぁ・・・。

あなたの声を最後に世界など消えてしまえば・・・。